副効用としての育毛効果=経口育毛剤プロペシア

前立腺肥大治療薬プロスカーの服用者に副作用として頭髪が濃くなる症状を訴える人が多いことから、育毛剤として研究、転用されたのがプロペシア(Propecia/Finasteride)です。プロペシアはFDAが認可した最初の経口(飲む)育毛剤です。プロペシアとプロスカーは全く成分が同じですが、ただプロスカーの有効成分フィナステライドの濃度が5mgであるのに対して、プロペシアのそれは1mgと低く押さえられています。余談ですが、成分濃度で比較した場合、圧倒的にプロスカーの値段の方が安くしかも保険がきくため、プロスカーを入手して5分の1に割ってプロペシアとして服用するという裏ワザを使う人がいるそう。でもアメリカでは違法だそうです。
精巣から分泌されたテストステロンは血液に乗って、精嚢や前立腺で5α-リダクターゼの還元作用でジヒドロテストステロンになり、前立腺では前立腺細胞の増殖?肥大という症状を引き起こします。また同じように血液に乗ったテストステロンは頭部の毛乳頭にも運ばれます。還元酵素の5α-リダクターゼは毛乳頭にも多く存在し強い作用を働きます。その結果ヘアサイクルの短縮化?薄毛の進行という症状を導くのです。プロスカー/プロペシアの5α-リダクターゼ抑制は、前立腺という局所においてのみ作用するのではなく、頭部においても有効という事になります。他の育毛剤では、ヒノキチオールや βグリチルレチン酸などに同様の5α-リダクターゼ抑制効果があるとされていますが、抑制効果はフィナステライドの方が1000倍も強力だそうです。ただフィナステライドは、詳しくは分かりませんが、男性ホルモン全体の活性を落とす結果、性欲減退や精液量の減少などの副作用があります。
前立腺治療薬=のこぎりやし (のこぎりやしは薄毛に効くか?)

のこぎりやし/ソーパルメットは北米大陸南部の大西洋沿岸に生息する植物で、その実は、アメリカ原住民をはじめ、多くの人々に強壮剤などの目的で愛用されてきました。最近の研究ではソーパルメットが良性の前立腺肥大症(BPH)に有効であることが確認され、残尿感などの症状を緩和するために利用されています。また実際フランスやイタリアなどの国では医薬品としての認可を受けているそうです。ソーパルメットもプロスカー/プロペシアと同じく5α-リダクターゼの働きを抑制することによりジヒドロテストステロンの生成を阻害することで前立腺の肥大を防ぎます。ソーパルメットのエキス(85%~95%の脂肪酸とステロールを含むエキス)を使用した二重盲検法による実験では、4~6週間で約90%に効果があったと報告されています。またプロスカーとの対比では、尿流量が服用開始段階の9.6ml/秒から服用三ヶ月後に10.4ml/秒に増加したプロスカーに対して、ソーパルメットの場合、9.53ml/秒から13.15ml/秒と顕著な改善がみられたとの事。さらにソーパルメットにはプロスカーのような重大な副作用もないと言われています。
では、のこぎりやし/ソーパルメットも、プロスカーが育毛剤プロペシアに転用されたように薄毛への対策としての利用は期待できないでしょうか?のこぎりやしの育毛効果に関しては証明されとは言えない状況のようです。しかしその5α-リダクターゼ抑制に期待して、すでにいくつかのメーカーによって育毛シャンプーや育毛剤が開発され、製品化されています。代表的なものには次の製品があります。(リンクは製品の内容について参照できるアメリカのサイト例です)

 
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