成人男性の2%がアルコール依存症!?

50人に1人の成人男性がお酒なしではいられない

世代別では70代がいちばん多く、約3%がアルコール依存症
長年大量に飲みつづけ、お酒なしではいられなくなってしまうのが、「アルコール依存症」。お酒がもとで体を壊したり、仕事や日常生活が続けられなくなることもあるのがこの依存症の怖いところです。

厚生労働省が2002年度から3年間にわたって行った調査によると、成人男性の約2%、50人に1人の割合でアルコール依存症があることがわかりました(対象:3500人の男女、回答:2547人)。

身体依存ができると根治は難しい

身体依存になったら、断酒を決意するしかない
このサイトの記事でも、いままでさまざまな依存症について触れてきましたが(摂食障害、ギャンブル依存症など)、アルコール依存症がこれらと決定的に異なるところは、進行すると「身体依存※」になることです。一度身体依存になると、心のもち方を変えるだけでは克服できません。

二日酔いでたまに朝寝坊してしまうことがある程度ならまだ引き返せます。しかし、身体依存の段階まで進んだら、この体質は一生続きます。一度やめたとしても何かの拍子に再開してしまえば、またお酒がないといられない生活が始まってしまうのです。したがって、身体依存ができた人がアルコール依存症を克服する場合には、「一生、何があっても飲まない」ということを心に誓い、断酒に取り組まねばならなくなります。

※身体依存とは?
ある物質を長い期間、たくさん摂ったために、体がその物質がないといられなくなり、中断したり量を制限すると体に異変が生じること。アルコールのほかにも、薬物、ニコチンなども身体依存ができやすい。

アルコール依存症をチェックしよう
では、自分がアルコール依存症でないかどうかを知るにはどうしたらいいでしょう。WHOによる診断ガイドラインがありますので、チェックしてみましょう。

アルコール依存症の診断ガイドライン

過去1年間のある期間において、次の項目のうち3つ以上の経験があったら、アルコール依存症の疑いがあります。

1 「飲酒したい」という強い欲望、または切迫感がある

2 飲み始めや飲み終わり、または飲酒量をコントロールすることが困難

3 飲酒を中止したり、減らしたりすると離脱症状(禁断症状)※があらわれる

4 アルコールの効果を感じるために、以前より飲酒量を増やさなければならなくなった

5 飲酒のために他の楽しみや興味に目を向けなくなり、飲んでいる時間や酔っている時間が長くなった

6 明らかに心身や生活などに支障が出ているのを知りながら、飲まずにはいられない
(WHOの国際疾病分類ICD10による)

※離脱症状(禁断症状)の例
手のふるえやけいれん、嘔吐、下痢、発汗、不眠、動悸、不安感、イライラ、あせり、幻覚など

酒の力を借りるタイプは
アルコール依存症になりやすい

酒の力を借りて...というタイプの人はご用心を!
「酒は百薬の長」ともいわれ、少量たしなむ程度であれば心身の調子をよくしてくれるものです。実際、まったくお酒を飲まない人より、少量たしなむ人のほうが健康であるというデータもあります。しかし、度が過ぎると心身や生活を破壊するほどの影響力をもつもの。お酒を長く楽しんでいくためには、自分の適量を知り、酒量や時間をコントロールしていくことが大切です。

いちばん危険なのは、「明るくなりたいために酒を飲む」「酒がないと本音で話せない」というような、酒の力を借りるタイプの人。このタイプの人は、ストレスを感じるたびに酒量が増え、自分でも気づかないうちにアルコール依存症への道を進んでしまうことがありますので、十分注意する必要があります。

 
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